おりじなる
□海の子 第2章(2)
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竜也は買い物袋を下げて、コンビニで求人誌を見ていた。
厳しい表情でページをめくる。
近日中には、新しいバイトを見つけなければならない。
あの日の昼過ぎに店長から電話が入った。
今日はもう帰らないから店閉めて帰れ、とだけ言われた。その声は、いつものハリが無く、どこか弱々しかった。そして最後に、しばらく店を閉めるから、明日からは来なくていいとも。
こちらが何か言う前に、ガチャンと切られてしまった。
あまりにことに、竜也は受話器を持ったまま絶句した。何の説明もなくいきなりクビにされて、憤りすら覚えた。
その理由は翌日の新聞でわかった。
《6月25日午前11時頃、市内の小学校に男が乱入。校庭にいた児童らを次々に刃物で斬りつけた模様。男は数人の教師によって取り押さえられ、駆けつけた警察官によってその場で逮捕となった。死傷者は児童を含めて15人。》
ニュースをまとめるとこんな感じである。
店長のお孫さんもその小学校に通っていて、彼女も事件に巻き込まれて亡くなっていた。
自分も知っている子だったこともあって、ニュースを知ったとき、すごくショックを受けた。それと同時に、こんな時に不謹慎だが、バイト代のことを本気で心配してしまった。だが現実問題として、実際金が必要なのだから仕方ない。