−物語を垣間見る。

□アンタの声。
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拳西らしき虚に襲われて。

真子達が応援として来て。

ハゲ真子がお節介にウチのこと抱えて。

そこまでははっきりと覚えてるし、「自分」だったという自覚があった。

でも、その後は…次第に自分のナカで異常な感覚が育っていっているのがわかった。

その時は、それが何か、どういうものなのかさっぱりわからなかった。



「シンジ。放せ…。」



気がついたら真子を斬りつけていた。

−だから放せってゆうたやろ…。

−ハゲ真子。


こんなことしたいわけじゃないのに。
身体が。
力が。
自分の思い通りにいかなかった。
内側から溢れるように出てくる不思議な力。

−怖い。

自分が自分でなくなるような感覚。

−怖い。

でも一応まだ「自分」はいるらしい。
いつまで自分でいられる?

−怖い。
いつまで?




−あぁ、誰かが話とる…。ハッチか?いや違う。じゃぁ誰だ?
そういえば拳西は?リサは?白は?無事か?
それからあのハゲ、どないしたやろ…。感触からするとけっこう深いで。傷。何でや?何で?なんで斬りつけてしまったんや?



「知る必要は無い。」


−誰や?ウチらの他に誰が?何が知る必要のないことなんや?

−誰か教えろや。何でこんなことになってんねん。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」

−…真子の声…や…。
どないした…?
そんな苦しそうな声…出すなや…。
こっちまで…苦しくなるやないか…。
ボケ…。
…怖い。
…苦しい。
…怖い。
なぁ…真子…。
アンタも苦しいんか?
…アンタの事も考えず凄く自分勝手な言い分だけど…。
助けて…。
シン…ジ…。
…怖い。
…なぁ…。

「シンジ…?」
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