−夢に呑まれる。−黄金争奪
□You had it. −君が持っていた。 『満腹になる程の笑顔。』
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女が料理している間、その背中を間瞬きも惜しみ見入っていた。
知りたかった。
自分の撃ち殺した獲物が自分の為に食い物になった時、どんな味がするのかを。
そして女はどんな顔で俺が撃ち殺した獲物を食すのかを。
しかしその答えは拍子抜けする程、平凡でありきたりなものであった。
女はニコニコと美味しそうに鳥鍋を頬張ったのだった。
「お肉は久しぶりなのでとても嬉しいです。
味付けはどうですか?」
「ちょうど良い。」
「それは良かったです。
さぁ、いっぱい食べて下さいね。」
碗の中身が空になる度に女はにっこりと手を出すのでつい渡してしまう。
もう4杯目だ。
「さすがにもう…。」
そう伝え箸を置くと女はとても嬉しそうに声を出して笑った。
屈託の無い笑顔で。
You had it.
−君が持っていた。
『満腹になる程の笑顔。』
Fin.