Keep a secret

□見てるだけで
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「い、嫌! 離してよっ」
「動かないでください」

 綾瀬さんの両腕を片手で掴みながら自分の制服のネクタイを緩めた。抵抗する綾瀬さんを押さえながら腕を縛るのは難しくて手こずってしまった。
 こういうことに手慣れてる人ってすごいんだな。全く尊敬はできないけど。

「どう……してこんなことするの」
「わからないんですか?」

 ほら、俺のことなんか少しも考えてくれてない。俺は綾瀬さんの心の片隅にもいないじゃないか。

「もう喋らないでください」
「い、いや……」

 腕を満足に動かせない綾瀬さんを組み敷くのは簡単だ。綾瀬さんも無駄だとわかったのか首を嫌々と振ってみせるだけで、激しい抵抗はしなくなった。
 それをいいことに彼女の制服を下着ごとまくりあげると胸の膨らみに手をやった。
 手の中で形を変えるその柔らかな感触を楽しむ。彼女の形の良い胸は想像の何倍も柔らかく、俺の手に馴染んだ。

「い……たいっ」
「ああ……」

 感動のあまりちょっと力を強くしすぎたかな。悪びれなく「ごめんなさい」と伝えると片方の胸の先端を指で軽く弾いた。

「ん……っ」
「これ、気持ち良いですか?」

 綾瀬さんがびくりと震え、熱のこもった息を吐いたのを見逃さない。次は両方の胸の先端を同時に弾いたらそこはぷっくりと勃ち上がった。

「乳首勃っちゃいましたね。もう痛くはないんですか」
「ふぁっ……や、だ」

 指の腹で擦ってやれば綾瀬さんは切なそうな声を上げながら太ももをもぞもぞと動かしている。下着のクロッチに沿って指を這わすとそこはしっとり湿っていた。
 俺に触れられて綾瀬さんが感じてくれていることがとても嬉しい。

「綾瀬さん、濡れてるのわかりますか?」
「や……っ、ち、違う」
「違う? それなら確かめないと……下着、脱がせますね」
「いやっ! 時谷くん、やめて!」

 これでも抵抗しているつもりなんだろうが、身体を捩りながら脚をばたつかせてくれるおかげで腰が浮いて、難なく下着を足首まで下ろすことができた。

「や、やだ!」
「そんなに脚を動かすと綾瀬さんの恥ずかしいところ見えてしまいますよ」
「っ、み、見ないで……」

 そして少しからかってやればすぐさま太ももを閉じ、更には拘束された腕で前を隠そうとする。
 邪魔なその腕を綾瀬さんの頭上に固定し、空いているもう片方の手で太ももを撫でた。面白いように反応してくれるからもっと意地悪したくなる。

「綺麗な脚ですよね。いつも男に見せつけるみたいにスカート短くしていますし」
「ち、違っ! みんなと同じ長さだよ」
「そうなんですか? 他の女子のことは見ないからわからないな……」

 閉じた太ももの間を指でつーっと撫ぞると綾瀬さんは体をびくつかせ、力を緩めていく。ほんの少し開いた隙間から手を潜りこませ、彼女の中心に指を這わせる。
 割れ目を指で撫ぞりながら彼女の小さな陰核を親指の腹でこね回す。くちゅくちゅと彼女が感じている証拠の淫らな水音が狭い室内に響いた。

「綾瀬さんは触られるとすぐに濡らしてしまうんですね」
「あっ、ち……が、んっ」
「恥ずかしい人ですね」
「んぁ……! やだぁ」

 綾瀬さんは堪えきれない声を漏らし、ぎゅっと目を閉じた。
 それは俺を何よりも苛立たせる抵抗だった。綾瀬さんが俺を見てくれない、認識してくれない、これほど苦しいことは他にないのだから。

「目を開けてください。ほらちゃんと見て。この場所に見覚えがあるでしょう?」
「はぁっ……見覚え……?」
「そうです。ちょうど綾瀬さんが寝てるこの位置は、前に僕が黒崎さん達の相手をさせられてた場所なんですよ」

 綾瀬さんはゆっくりと目を開き、少しの間を置いてから眉を寄せる。
 思い出したくない光景がフラッシュバックしたんだろう。そう、表情に出ていたから俺は少し笑ってしまう。

「あ、でも体勢が違いますね。僕が下にならなくちゃ」
「ど……いう意味」

 綾瀬さんの身体を抱き起こして腰を浮かさせる。俺はその下に顔を滑り込ませ、仰向けに寝転がる。
 そのまま手を引っ張ってやれば、力の抜けた綾瀬さんは俺の首の上にぺたんと馬乗りになった。
 いわゆる顔面騎乗をさせようとしたのに、綾瀬さんにはわからないんだろう。

「はっ、くるし……」

 綾瀬さんの体重で首が圧迫されて苦しい。秘部から溢れるぬるぬるとした液体が、熱い粘膜が、俺の皮膚に纏わり付く。
 早くここを俺に頂戴。色んな意味で死んでしまいそう。

「あ……ご、ごめ……大丈夫?」

 すぐに腰を浮かした綾瀬さんはあろうことか俺を気遣ってくれている。
 どう考えても自業自得であり、むしろ首でも絞めて気絶させてから逃げ出したっておかしくない状況なのに……俺を心配し、逃げるのを忘れているなんて本当に愚かだ。
 そして、どこまでも優しい人だ。

「逃げないのはこの先を期待してるからですよね?」
「や……ち、違う」

 期待してるわけじゃないことくらい知ってる。ただ彼女を傷付け、辱めたいだけだ。

「違っ……ひっ!」

 慌てて立ち上がろうともがく細い腰と腕を強く引くと、前のめりに倒れた綾瀬さんは今度は俺の顎の上に腰を落とした。
 俺はそのまましっかりと彼女の腰を支えてやり、少し位置を調整しながら目の前の秘裂に舌を這わせる。

「あ……っ、やめ……っ」
「んっ、気持ち良い……ですか。はぁ……」

 中を探るように尖らせた舌を彼女の秘部にねじ込み、とろとろと舌に落ちてくる液体を飲み込んでいく。でも、舌では奥まで届かないから酷くもどかしい。
 内側に舌を擦りつけながら顔を上下に動かすと鼻が陰核に当たるらしく、綾瀬さんはがくがくと激しく腰を揺らす。

「は……綾瀬さん、イキそうなの? いやらしいですね」
「んぁっ、あ……んっ」
「男の顔の上に乗って腰を振る気分はどうですか? ん……気持ちいですか? 僕は……男女は、んっ……プラトニックな関係を築くべきだと思ってる……はぁっ、んですけど……綾瀬さんはエッチなことが……んっ、大好きなんでしょうね」

 尚も逃げようともがく彼女にきつく強く吸い付きながら辛辣な言葉を投げかける。
 プラトニックな関係? 全く、どの口で言っているんだか。

「あっ、あっ、やだぁ……誰かった……すけて」
「誰か?……そうですね。入口を見てください。誰か覗いてるかもしれませんよ。綾瀬さんが覗いてたみたいに」
「ひっ、いやぁぁ!」

 綾瀬さんが悲鳴を上げた。思い出したくないのか何度も首を横に振り、現実から逃げるように目を閉じる。

「あの時、綾瀬さんも入ってきたらよかったのに。イカせてあげましたよ」
「何でそんな……っ」
「僕、綾瀬さんと目が合って興奮したんですよ? 一瞬だけど、あの女どもの体が綾瀬さんになったような錯覚がしました。綾瀬さん、あの時自分がどんな顔をしてたかわかりますか? 泣きそうなのに顔は真っ赤で……僕を求めていたんでしょう?」
「やだぁっ、ちが、う……っ」

 なんて酷いことを言っているんだろうか。
 泣きじゃくる綾瀬さんはどうしてこうも可愛いんだろう。可愛くて愛おしくて、彼女を傷付ける言葉を止められない。

「ああ、綾瀬さんって自慰するんですか? あの時のことを思い出して一人で慰めたりしましたか?」
「うぅ……っ助けて……」

 助けなんか来ないよ。今まで助けてもらえたことなんてなかった。
 あの日の放課後、校舎裏で囲まれていた俺に綾瀬さんが声をかけてくれるまでは……。

「ごめんなさい。もうイキたいんでしたね」
「ひ……っ、あっ」

 中断していた行為を再開する。陰核を舌で弾いて、徐々にその動きを早めていく。

「あ、あぁっ!」

 舌を使いながら軽く歯を当てた瞬間、綾瀬さんの体が大きく跳ねる。
 飲み込めないくらい愛液が零れ落ちてきて息が苦しい。溺れているような錯覚。
 犯そうとしているのは俺の方なのに、綾瀬さんに犯されているみたいだ。

「……イっちゃいましたね」
「はぁ、はぁ……も……終わりだよね。帰ってもいいよね」
「……自分だけ気持ち良くなって帰れると思いますか? 僕は……綾瀬さんを犯すために呼び出したんです」

 俺は身体を起こすとぐったりしている彼女を膝の上に乗せた。
 スラックスの前を寛げて、イッた直後で震えている秘部に性器をあてがう。
 びしょびしょに濡れた綾瀬さんのそこと、期待で先走りを垂らす俺の自身が擦れて卑猥な音が響く。

 ああ、可愛くて可哀相な綾瀬さん。
 力のない俺からも逃げることができない非力な綾瀬さん。息を苦しがった俺を心配した愚かな綾瀬さん。
 こんな俺なんかと友達になろうとしてくれた優しい優しい綾瀬さん。
 俺はあなたのことが――

「時谷くん……っ、お願い、やめて……」
「……くそっ」

 秘裂に沿って激しく性器を擦りつける。ぐちゃぐちゃに混ざり合う音がするが、俺のは綾瀬さんの中に受け入れてもらえない。
 陰核に当たるよう動くと、綾瀬さんはまた大きく体を震わせる。俺もその刺激で、彼女の太ももに欲を放った。


「はぁ、は……あり……がとう……」
「…………」

 腕の拘束を解いて、開口一番の言葉。俺は何も言えなかった。
 ありがとう、だなんて。純潔を奪わなかっただけで俺はあなたを汚したのに。
 綾瀬さんは自ら体を拭き、服の乱れを直して立ち上がる。ふらつく肩をとっさに支えようとした俺の手は……彼女に弾かれた。

「触らないで」
「っ!」

 手が焼けるように痛い。綾瀬さんからの拒絶が痛くて痛くてたまらなくて、また息ができなくなる。

「綾瀬さんが好き、なんです……」

 振り向くことなく出て行った綾瀬さんに、きっとこの告白は届かなかった。


 一年前からずっと綾瀬さんのことばかり考えていた。綾瀬さんは俺にもう一度学校に行く勇気をくれたから。
 ただ見てるだけでよかった。そう思っていたのは嘘ではないけれど、本心でもなかった。

 綾瀬さんのことが好きです。俺を好きになってください。
 今更諦められるわけがないんだ。俺が抱いている気持ちと同じ感情を綾瀬さんから欲しい。
 大好きな笑顔が俺に向けられることはもう永遠にないとしても……それでも俺はあなたを手に入れたい。
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