創作夢

□02
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 星に願いをこめたら元通り。翌朝目覚めた私の股間に立派なナニなんか生えていない。
 そう信じて眠りについたのに――

「何でー!何で直らなかったの!?私の体、一生このままなの!?」

 私にナニが生えますように……なんて湊のバカバカしい願いごとは叶ったのだ。体を元に戻すのだって同じように流れ星に願えば叶うはず。そうでなければおかしい。
 だけど、朝起きた私の下半身には変わらず男性器が存在した。あたかもそこにあるのが自然であるかのようにそびえ立っていたのだ。
 絶望し、ひとしきり泣いた後はこの理不尽に対する怒りと悔しさがこみ上げてくる。

「まあまあ、先輩。受け入れて生活するしかないですよ。さっ、お風呂に行きましょうね。おちんちんの洗い方教えてあげます」
「いーやーだー!」
「暴れない、暴れない」



――私にナニが生えてから一ヶ月が経った。

 この一ヶ月間で変わったことといえば自慰の回数が多くなったことだろうか。男性器というのは何かと面倒な代物で、寝起きは当然としてお風呂で体を洗う時やトイレで少し擦れたくらいでも勃ってしまう。
 勃起するとスカートがもっこりして傍目にもわかるのが厄介だ。未然に防ぐためには朝出掛ける前に数回射精しておく必要がある。

 だけど、湊はそれが気に入らないらしい。一人で抜いているだけなのに浮気だー浮気だーと騒いでいる。
 まあ、いつものこと。通常運転。世界の真理と言ってもいい。湊が浮気だと騒ぐことで今日も地球は回っているのだろう。

 そうして性欲を持て余している私達は、昼間から湊の部屋で事に及ぼうとしていた。

「ふふっ。元気なおちんちん……僕の言いつけを守ってちゃんとオナ禁してたみたいですね」
「あ、あんまり見ないで……」

 ベッドの端に腰掛けた私の前に湊が跪く。スカートと下着は早急に取り払われ、その秘密の場所に舐めるような視線が向けられている。私の浅ましいそれは湊の眼前で期待に膨らんでいた。
 浮気じゃないなら自慰を我慢しろと言われてから三日間、私は約束を守っている。男性器が生える前の私ならめったに自慰なんてしないから別にどうってことはないのだろうけど……今の私にとっての三日間は長い長い我慢期間だった。

「ご褒美に頭撫でてあげます。ほーら……いいこいいこ」
「っ、んっ、あ……っ!」

 湊は上目遣いで私に笑いかけながら亀頭を手の平で包んで撫で回す。待ち望んでいた刺激が与えられて素直な声が出る。

「いいこな天音先輩のおちんちんにたーっぷりご奉仕しますね?……んっ」
「ひぁっ!みなとぉっ……」

 湊は根元を握って舐めやすいように持ち上げると、大きく口を開けて性器をくわえた。
 時々じゅっと音を立てて吸いつきながら、喉奥まで導くように陰茎を口内にゆっくりと迎えいれていく。温かな口内にじわりじわりと侵入していく感覚は、湊に挿入している時のあそこが溶けてしまいそうな感覚を思い起こさせる。
 この一ヶ月間で湊の口の中もお尻もすごく気持ち良いんだってことを嫌と言うほど私の体は教えこまれていた。湊を押さえつけて思うままに腰を振りたい衝動を必死にこらえる。

「じゅる……んっんっ」
「うぁぁっ!あぁっ」

 喉奥深くまでくわえこんだ湊が、口内で陰茎に舌を這わせながら激しく顔を上下させる。口の中は温かくて、トロトロした唾液が絡まり付いて気持ち良い。湊は口をすぼめてじゅぽじゅぽといやらしい音をさせながら、時々苦しそうに吐息を漏らした。
 ……私が湊を犯してるみたい。汗が滴り落ちて目に入るのも気にせず私を気持ち良くしようとしてくれている。湊って嫉妬深くてめんどくさいところもあるけれど、健気に尽くしてくれるタイプだし何だかんだで可愛い……。

 あそこに顔を埋めている湊の頭をそっと撫でると、湊は驚いたように私を見上げた。性器を口にくわえたままの姿は卑猥なはずなのに、キョトンとした顔で首を傾げるから、無垢な子供のようだ。

「んっ……はぁっ、天音せんぱぁい……きもちい?」
「あ……あっ」

 口から性器を抜いた湊は片手で根元を扱きながらとびっきり可愛い微笑みを浮かべる。返事をする余裕がなくて何度も頷く。

「えへへ……天音先輩ってほんと可愛いですね」

 私が素直に気持ち良いと伝えると湊はいつも嬉しそうに、照れたように笑う。その甘い砂糖菓子みたいな笑顔は元々中性的な湊をより女の子らしく見せていた。

「み、湊の方が可愛い顔してるよ」
「もう天音先輩ってば!僕は天音先輩にかっこいいって思ってもらいたいんです!……あ、でも天音先輩のおちんちんに満足してもらうためには女の子っぽくなった方がいいのかなぁ……」

 頬を膨らませた湊は性器を手放し、探るようにじいっと私の目を見つめてくる。が、私からしてみれば極普通のエッチが出来ればそれでよい。

「み、湊はそのままでいいの!……私、今のままで、ま、満足してるし……」
「先輩……!僕も天音先輩とセックスするの気持ち良くて大好き!」

 私の言葉に食らいついた湊は瞳を輝かせる。そして、思わず躊躇するような言葉を恥ずかしげもなく口に出した。

「あっ、もちろん天音先輩のおちんちんも大好きですよ?」

 少し呆れた顔をした私を見て、私が男性器の件を気にして落ち込んでいるとでも勘違いしたらしい。男性器も含めて好きアピールを欠かさない。

「こんなにおちんちん濡らしちゃって可愛いなぁ……天音先輩の気持ち良いところにいっぱいチューしてあげますね。ちゅ、ちゅ……ちゅぅっ」
「ひゃあっ、だ、だめ!」

 愛おしそうに陰茎に頬擦りをして、先っぽを中心に啄むようなキスが繰り返される。敏感な部位に唇が軽く触れる度にむずむずとした感覚に襲われる。唇が離れる瞬間に聞こえるリップ音が羞恥を煽り、気持ちまで高められていく気がした。

「んぅ……ちゅ、ちゅっ……」
「あっあっ!わ、私……イッちゃう……かもっ」
「んっ、イクんですか?ザーメン出そうなんですね?……やったあ!僕のお口の中に天音先輩の三日間溜め込んだドロドロザーメンくださいっ……んっ」

 むずむずした感覚が強くなっている。限界は近そうだ。
 湊は興奮したように息を荒げて陰茎を再び口内に呑み込んでいく。口の中に収まりきらない根元は両手で扱かれ、口内で絡みついてくるザラザラした舌が気持ちいい。
 激しく上下しながら吸い付いてくる唇に、細やかな動きをする舌、搾るように根元を扱く手の動き。それら全てが射精を促して、私は限界まで上り詰める。

「も……っだめ……!イク……っ!!」
「!んぅっ、ちゅうぅぅぅっっ」

 下半身に集まった熱が一気に弾けるような感覚――偽物の男性器で作られた大量の精液が湊の口内に注がれる。
 湊は喉奥に勢いよく放たれた精液に苦しそうに眉根を寄せると、根こそぎ搾り取ろうとするように根元を扱く。そのまま最後の仕上げとばかりに口をすぼめて強く吸引される。
 激しい快楽からの逃げ場はなかった。全身が震えている。触れられていない秘部までもが痙攣しているのを感じた。


「はぁっ、はぁ……み、みなとっ、も、う出ないよぉ……」
「ん………ぷはぁっ」

 貯まっていたものの全てが空っぽになった。そんな気がして、尚も吸い付いている湊の髪をやんわりと引っ張った。
 私の様子を上目で観察していた湊が小さく頷く。湊の口の中から解放されたのと同時に襲ってくる疲労感に抗うことなく私は体をベッドに沈める。

「ふぃっふ!ふぃっふ!」
「……湊?」

 すると、湊は何かを口走りながら立ち上がる。勉強机の上のティッシュ箱から一枚だけティッシュを取り、そのままベッドまで戻ってくると私の顔の近くに座った。
 口をモゴモゴさせて開かないから未だ口内に精液を残しているらしい。いつもならくわえながら全部飲み込むから、口に溜めたままでいるなんて珍しい。

「吐き出すの?」

 湊は口を手で押さえながら首を横に振った。私は寝転がったままそのよくわからない行動に目を向ける。
 湊は天を仰ぐように顔を上げて、少しだけ開いた唇の隙間から舌をチロリと出す。赤い舌には白い粘液が少し乗っている。私の出した精液だ。

 どうして少しずつ出したりするのだろう?早く全てティッシュに吐き出してほしい……!
 口に入れたままでいたら何ともヘンテコで不味いはずの味がいつまでも続くし、精液特有の匂いは好きになれない。どうにも気まずくて、寝返りを打って背中を向ける。
 しかし、それも一瞬の抵抗で終わった。湊に肩を掴まれて元の方向に戻される。ベッドの端に座っている湊の顔を見上げると、まだ口の中をモゴモゴさせていた。

「は、早く吐き出してよ!」
「……ひやれす」

 恐らく「嫌です」と言ったんだろう。綺麗な唇を結んで微笑みを浮かべている湊がどうしたいのか検討がつかない。
 湊はやがて中のものを噛んでいるような、口内で舌を回しているような、くちゃくちゃと下品な音を立て始めた。時々片頬が膨らんだかと思うと今度は反対側の頬を膨らませる。そのモゴモゴとした口の動きは風船ガムでも噛んでいるみたいだ。
 でも、湊の口の中に甘いお菓子なんてあるわけもない。湊は私が出した精液をいつまでも味わっているのだ。

「み、湊のバカっ、いい加減にしてよ!早く出して……!!」
「んんっ!」

 こんな卑猥な姿これ以上見ていられない。私は体を起こすと湊の口を無理矢理こじ開けるため顎を掴んだ。湊が慌てて立ち上がって私から距離を取る。

「ひゃめ!ぼふのなんらから」

 駄目。僕のなんだから。そう言っているのだろうか。
 湊の口の中に私の出した精液が残っていると考えたら顔から火を吹きそうなくらい恥ずかしい。でも、嬉しい気持ちもあった。
 最初、ティッシュに吐き出すのかと思った時は何故だか少し寂しかった。決して美味しいものではないはずの精液を湊がいつも必ず嬉しそうに飲み込むのは、私への深い愛情故なのかもしれない。
 私は一度も湊のアレを舐めたことがなかった。湊のなら嫌な気はしないけど、これまで特に求められることもなかったから。このバカなやり取りが終わったら私も湊にフェラしてあげようかな。

 初めてだからきっと下手くそだろうし、気持ち良くしてあげられるかわからない。湊も初めはものすごく下手だった。
 しょっちゅう歯が当たるから痛くて、フェラだけは勘弁してくれと泣きつく私に湊も泣きながら、こう懇願した――

「……ぼ、僕、いっぱい練習します!天音先輩の勃起おちんちんと同じ大きさのバイブを買って、毎日何時間も練習します……上手くご奉仕出来るようになったら、僕のお腹がいっぱいになるまで天音先輩の精液をお口にください!」

 あの時は次から次へと飛び出す淫語にドン引きしていたけれど、思い返してみれば私のことが本当に好きだからこその言葉だったのだと感じる。
 そして、湊が練習用に買った極太バイブは今はもっぱら私の秘部に挿入する用途で使われている。
 あれを挿れられると自分に生えた男性器の異常な大きさに改めて気付くのと同時に、私の性器をいつもお尻で受け入れてくれる湊のいろんな意味での懐の広さがわかる。


「み、みなと……いつまでそうしてるの?わ、私も、湊の……な、舐めてみたいんだけど……」
「……せんぱいがぼくのを!?」

 湊はモゴモゴしながらも比較的聞き取りやすい声を出して私の目を覗き込み、すぐににこりと笑みを作った。そうして開かれた口内を凝視してしまう。
 唇の間から覗ける口内は唾液と青白いような精液がぐちゃぐちゃに混ざりあっている。湊の歯並びの良い真っ白な歯や、綺麗な舌や歯茎が、私の出した精液に犯され汚されてしまったように見えた。
 そのいやらしい光景に思わず生唾を飲み込む。すぐに勃起してしまうことが悩みの種である性器が、湊の恥態を見て再び固くなったのを感じる。

「せんぱぁい……おいひいれす。のんれもいい?」
「……う、うん」
「のんれほひい?」

 見せつけるように開かれたままの唇。湊はいやらしく舌をうごめかせて喋りながらうっとりと私を眺めている。

「み、なと……」

 ああ、もうどうしよう。私もきっと変態の仲間入りだ。

「私の精液……味わって飲んでね?」
「っ!はい!…………んっ」

 湊は嬉しそうに大きく頷くと、最後にもう一度口の中でくちゃくちゃさせる。そうして私の目をじっと見つめながら、ゴクンと大きく喉を鳴らして飲み込んだ。

「あぁぁ……天音先輩の……すごく濃い……まだ喉に絡みついて離れないですよ。僕の喉、妊娠させられちゃう」
「そ、そんなことあるわけないでしょ!」

 やっと私の精液を飲み下した喉を愛しそうに撫でながら、湊は私に顔を近付けてくる。

「ほら、見てください……天音先輩のザーメン、ゼリーみたいにプルンプルン。ほらほら、指で摘めちゃうんですよ?」
「やぁっ、それ……!さっきティッシュに出してたやつ?」
「はい!ザーメンの濃さでオナ禁していたのか検証しようと思いまして。味も見た目も合格です。だから、ね……天音先輩が浮気してるなんて疑ってごめんなさい……こんな愚かな僕を捨てないでください!天音先輩……っ」

 湊は意地悪な笑顔から一転して泣き出しそうだった。そのまま縋るようにぎゅうっと抱き着かれては許さないわけにいかない。

「……捨てるなんて有り得ないよ。湊が……す、好きだから」
「天音先輩……!僕も天音先輩が好きです!好き好き好き大好き!!」
「……うわっ!ちょ、ちょっと湊!?」

 "好き"を言葉にするのはまだまだ照れ臭い。ぎこちない私とは対称的に好きを伝えるのが得意な湊に、好き好き連呼されながら勢いよく押し倒された。

「まだ全然足りません。天音先輩の精液で僕のお腹をいっぱいにしてくださいね?」
「わ、私も……湊の精液ほしいな」

 間近に迫った湊の顔をかわいこぶって上目遣いで見つめる。湊にばっかり精液をあげていたら私の栄養が湊に吸い取られてしまう。私だってもらわないとフェアじゃない。
 湊はそんな私をくすくす笑いながら、耳元でこう囁いた――

「タンパク質の交換しますか?」


END
 

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