創作夢

□七夕ネタ
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「男の娘×女の子←男の子」凛視点



 俺は昔からなぜか周りの大人達、同級生の女子、男子からも可愛い可愛いと言われがちだった。
 本当は嫌だけど、すっげー嫌だけど。声変わり後の声も高めだし、誰もが口を揃えて女の子みたいだと言うんだから認めるしかない。俺はどちらかといえば女顔なんだろう。
 でもまさか、女のフリをして男と付き合ってもバレないほどだとは思いもしなかった。

『お祭りに浴衣着ていくね〜』
『それなら僕も浴衣にしようかな。凛の浴衣姿楽しみにしてるね!』

「しゃあっ!」

 自室のベッドの上で、握った拳を頭上に掲げる。俺が浴衣で行くと言ったら天音くんも合わせてくれるんじゃないかと思ってた。見事、下心の勝利。
 そうと決まれば女物の浴衣を買いに行かねぇとな。天音くんは女物と男物どっちの浴衣で来るんだろうか。

「女物がいいな……はぁぁーー……」

 バカデカいため息が漏れたのと同時に、振り上げた拳をシーツに下ろす。
 駄目だ、駄目だ。天音くんは家の事情で仕方なく女の子の格好をしてるだけで本当は一人の男として過ごしたいんだ。
 あんなに可愛い天音くんが男なんて今でも信じられないけど、彼氏……いや、彼女の俺までもが天音くんに女の子らしさを求めてどうするんだ。

 こないだのデートの帰り道で天音くんとキスをした時のことを思い出すと、今でも胸が締め付けられる。
 何となく良い雰囲気になって俺が顔を寄せたら彼はそっと目を閉じてくれた。きっと唇へのキスを待っていたんだろう。俺もそのつもりだったけど、頬に少し触れさせるだけで終わってしまった。
 俺の唇は女の子のものとは違うんじゃないか。触れ合ってしまったら本当の性別に気付かれるかもしれない。

「キモいって思われるだろ。ふつーにさ……」

 天音くんの友達のメイド男……名前は世良とか言ったっけ。あいつ、多分天音くんのことを狙ってやがる。
 正直天音くんは女の子みたいに可愛いから仕方ない。ホモかよなんて思わない。てか、俺も人のこと言えねーしな。
 しかし、たまに天音くんから聞き出してはいるが、あいつはどうも積極的に天音くんに告白したり、迫る気はない……らしい。天音くんが気付いてないだけかもしれないが。
 それだけ、同性同士の恋愛はハードルが高いということだ。

 天音くんを騙してることに罪悪感はある。でも、本当のことを伝えて別れようって言われるくらいなら、隠していたい。
 まだ、もう少し、天音くんの恋人でいさせてほしい。

『七夕の日、晴れますようにって短冊に書いておくね!』

 ずるい奴でごめん。心の中で謝罪しながら彼に返信をした。

 俺が叶えてもらいたい本当の願いは、天音くんに男だと打ち明けても好きでいてもらえますように。
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