でんじゃらすでいず

□おやすみ
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「…っは」
ルルーシュは安らかに眠っているロロを抱えて、ただひたすら高みを目指す。
ただただ、上を目指す。
「はぁ、はぁ」
細いくせに、しっかり男なんだな。ロロを抱きかかえた腕が静かに悲鳴をあげている。小さく、自分の体力の苦笑する。
思えば、会長の考えた最後の祭りの時には、今の俺とは逆に、ギアスにかかった動かない俺を抱えてロロに抱えられ、ロッカーの中に逃げたこともあったな。こんなに細いのに、こいつからしたら俺はさぞかし重かっただろう。
ロロ、お前との学園生活は偽りだらけだったけど、俺にもっと余裕があれば、もっと前から、違う関係を築けたのかもしれないな。

なぁロロ、俺たちの関係はいったい、何だったんだろうな。

さっきから、ぐるぐると、気分が悪い。
なぜだ。さっきから駆け巡るんだ。ぐるぐると頭の中を、お前との思い出が。
偽りの記憶。真実の記憶。
せき止められず溢れ出る感情。

そうか。俺は…

そっと、ロロを大木に寄りかかるようにして座らせる。
その表情は安らかに見える。
この場所なら、ロロも安らかに眠れるだろう。
木々も無く、視界が拓けたこの場所なら、高くたかく広がる空が綺麗に見える。今も白い鳥の群れがその高い空を泳いでいる。
「ここなら寂しくならないだろ?」
眠ったロロに問いかける。ロロなら、
「そうだね。兄さん」
と言ってくれそうな気がした。
そんな姿がありありと想像できて、胸一杯にありとあらゆる感情が駆け巡り、消えていく。
憎い。罪悪感。苦しい。寂しい。切ない。
この薄っぺらく、空っぽの感情は何と言う名前なんだろう。
ルルーシュは自分の両手を見つめ、小さく苦笑した。

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