普通の小説ワールド

□不幸な天使はお嫌いですか?8
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だんっ!!

「ばかもんがあっ!!」

 

一人の中年男性が、机を叩き、怒鳴り散らす。

「ああっ!?
ごめんなさい!!」

怒鳴られた瞬間、対象の青年は即座に謝る。

「分かったか!?
即座に柳沢勇太様から、不幸エネルギーを分けていただいて来い!!」

中年男性はそう言うと、椅子に座る。

 

「でも部長…
柳沢勇太様のまわりには、天使が二人もいるじゃないですか…」

「だったらどうした?」

おずおずと言う青年を、ぎろりと睨む。

「恐いんですよ…」

「お前は悪魔だろうが!!
しのごのぬかさずにさっさと行ってこい!!」

狭い事務所に、部長の怒鳴り声が響いた。

 

 

「と言う訳なんです…」

男性は事のいきさつ…

みたいな事を話し終えると、目の前のジュースをすすり始める。

「そんな話に興味はありませんわ。
それより、なぜあなたがここにいらっしゃるのかが分かりませんわ」

冷たい視線を男性に向け、チーズバーガーをほおばるティナ。

 

「手ぶらでは帰れないんですよ…
柳沢様、どうかここらで一発、不幸になってはいただけませんか?」

どんなお願いだそれは?

どう答えていいのか分からず、俺は困った表情でジュースを飲む。

 

「まあ…
その話は置いといて…
食べて下さいよ」

俺に促されると、男性は包み紙を開く。

「これは…
何ですか…?」

パンズを開き、中を確かめる男性。

「んとねえ。
それはチーズだよぅ」

「チチチチチーズ!?
これがっ!?
初めて見ました!!」

チャオに言われ、動揺しまくる男性。

魔界でも高級なのか…

 

「このお肉みたいなモノは何ですか?」

チーズの下にある、ハンバーグを指差す。

おや?

このリアクション…

 

「恐れおののきなさい。
それは牛肉ですわ」

「これが牛肉!?
はっ!?
まさかここにいる全員…
宮廷関係者?」

ティナに言われ、大声をあげて、辺りを見回す男性。

リアクション…

ティナと同じだし…

向こうでは、「またあのお客だよ…」みたいな顔で、店長らしき人が、俺達を見ていた…
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