普通の小説ワールド

□不幸な天使はお嫌いですか?4
2ページ/16ページ


「まったく…
あんまり走り回ったら危ないだろ?」

「ごめんなさいぃ」

…と謝ってはいても…

 

チャオの頭に貼りついたジャッキーマウスの耳が、誠意をきれいに消し去っていたりする…

 

 

 

「おいしいですねぇ」

俺とチャオは、世界市場でチーズサンドをぱくついている。

「おいしいね、チャオ」

俺は、チーズサンドをおいしそうに食べているチャオの顔を見て…

 

はっ!?

これってまさか…

ディトと言うアレ…か?

 

思えば、もう二ヵ月以上一緒に住んでるけど…

こうやってまともに出掛けた事なかったよな…

 

楽しいかも…

これ…

 

 

「ほらあ勇太さぁん!!
アマゾンと魔法のダンプですよぉっ!!」

だから走り回るな…

さっきの反省はどこ吹く風やら…

チャオは追い掛けられる鶏より早く動く。

でもまあ…

楽しんでるなあ…

こっちも嬉しいよ。

 

そうしてしばらくはしゃいでいると…

人が移動し始めた。

パレードの時間だ。

「もう二時になるのか…」

俺とチャオは、パレードルートに向かった。

そして…

 

盛大なパレードが始まったのだった。

 

「勇太さぁん!!
見て見てぇ!!」

見るとチャオは寸分の狂いもなく、壇上で踊ってるキャラクターと同じ踊りをしていた。

うを!?

まさか昨日の朝の番組で覚えたのか!?

だってチャオがラブリーランドの番組を見てたのって、あれしかないし!!

すげえ才能!!

 

そして…

パレードは幕を閉じた…

 

「あー楽しかったぁ!!」

ものっすごい満足そうなチャオ。

「まだイベントはたくさんあるよ」

「ホントですかぁっ!?」

チャオは破顔して喜ぶ。

俺がイベントの説明すると、チャオはワクワクしながら…

「早く見たい見たいぃ!!」

飛び跳ねながら喜んだ。

 

そして、しばらく二人で歩いていると…

 

べちゃ

 

子供のアイスクリームが、俺に付いてしまった。

子供のお母さんが俺に謝ってくる。

そして子供と手を振って別れて…

「チャオ、教えてよ。
今のだと黄色かな?」

俺は言う。

「すみませんでしたぁ…
あぇ…あれ…?」

「どうした?」

聞く俺に、チャオはオロオロしながら答えた…

 

 

 

「本が…ないですぅ…」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ