普通の小説ワールド
□不幸な天使はお嫌いですか?2
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えっと…
んっと…
「どこで買ったんだよ?
教えろよ?」
なんて答えたらいいか分からない俺に、枕崎先輩は聞いてくる。
な…なんで…?
「あんな人形、学校に持ってくるなんて…
お前もそうとうなマニアなんだろ?」
お前…「も」?
「まあいいや。
どうせもう遅刻なんだからよ?
ちょっと付き合えや?」
「いやあのちょっと!?」
枕崎先輩はそう言うと、俺の答えを待たずに引っ張っていった…
…
いったいなに?
俺は、枕崎先輩に連れられて、電車を乗り継いで着いた場所は…
結構…
いや、かなり立派な家。
表札に枕崎って書いてあるって事は…
「ここが俺んちだ」
えええええええええっ!?
金持ちっ!?
そして、俺は枕崎先輩の家の中に通され…
とある部屋の前まで連れてこられた。
「おい、オタク小僧…
って名前は?」
あ、そういや名乗ってなかったっけ。
「柳沢…勇太です…」
素直に名乗る。
「じゃあ勇太でいいな?
勇太、これから見る事や物だけどよ…
誰かにしゃべったら殺すからな?」
「は…はい」
睨みを効かせて言う枕崎先輩の言葉に、俺は首を縦に振りながら言った。
そして、枕崎先輩がドアを開けて…
その部屋にあったのは…
う…
うひいぃぃぃぃぃぃぃ!?
俺はなんとか悲鳴をあげるのをこらえた。
その部屋にあるのは…
人形…
正確に言うなら…
美少女フィギュア。
しかも大量。
マニアもびっくり。
小さな部屋にびっしり、ではなく…
20畳を越える部屋にびっしり、である。
「これって…」
おそるおそる聞く俺に、枕崎先輩は…
「誰にも言うなよ?
…俺さあ、小学校の時、
死にかけたんだよ…」
フィギュアの一つを手に取りながら、枕崎先輩は話し始めた。
「病院のベッドで…
もうダメだ…って思ってたんだけどよ…
神様に祈ったんだ…
助けてくれ…って…」
そんな事が…
「そしたらよ…
夢かも知れないけど…
黒い本を持った、小さな女が現われたんだ…」
そ…それって…
「俺を不幸から救ってくれる…って…
そしたら、奇跡的に助かってよ…
それからさ、その女に似てる人形を集めだしたのはよ…」
枕崎先輩も…
天使に会ってたんだ…