普通の小説ワールド

□不幸な天使はお嫌いですか?9
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はあ…

 

俺は窓から外をボーっと眺めている。

まだかなり暑い日差しが降り注ぐ校庭では、元気に体育をやっているクラスが見える。

あと少しで…

夏も終わりかあ…

 

 

 

―天使のダンス―

 

 

 

 

とんとん…

ふいに肩を叩かれ、俺は振り向いた。

 

「どうしたの柳沢君。
黄昏ちゃったりして?」

振り向いたその先…

ってか近い近い!!

あと少し顔を近付ければ、唇と唇が触れてしまいそうな距離に、、昔、ミラクルで彼女になってくれた、栗原早苗さんの顔があった。

俺は慌てて少し距離を取ってから…

「いや…
夏休みが終わってから、何もないからさあ。
暇だな…ってさ」

「ふぅん…
でもさ、それなら…」

ガラガラッ

栗原さんが何かを言おうとした、その時。

入り口が開いた。

みんな急いで自分の席に戻る。

すると…

 

「みんなすまん」

『!?』

カマ先…大熊先生が、教室に入ってくるなり、いきなり謝りだしたのだ。

クラスのみんなは、ワケが分からず硬直する。

「ど…!?
どうしたんだよカマ先!?
ある意味恐ぇーよ!?」

男子の一人が言う。

カマ先は、後ろ頭をポリポリ掻きながら…

「ああ…
いや、それほどたいした事ではないんだがな。
まあ、ただちょっと文化祭の事を、みんなに話すのを忘れてただけだ」

カマ先がそう言うと、クラス一同、胸を撫で下ろし…

 

『たいした事あるわ!!』

一斉にツッコンだ。

 

「どうすんだよ!?
まだ何も出し物決めてないんだぞ!?」

男子が叫ぶ。

「どうりで他のクラスは色々やってたはずよ!!」

気付け、おまいは。

「今から手の込んだ出し物は無理だからな。
簡単なのにしろよ?」

あんたが言うな。

クラス中大騒ぎになり、パニックになる。

 

文化祭…か…

 

「楽しみだね?
柳沢君」

「うん」

笑顔で言ってきた栗原さんに、俺も笑顔で答えた。

 

 

ちなみに、チャオとティナが静かなのは、カマ先がいるからです。
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