普通の小説ワールド

□不幸な天使はお嫌いですか?8
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『!?』

日曜日

リビングでくつろいでいた、俺とチャオとティナ。

しかし、いきなりチャオとティナの表情が険しくなった。

「感じましたか…?
チャオさん…」

「うん…」

めずらしく、真面目な雰囲気の二人…

 

「勇太様…
わたくしのそばから、離れないで下さいませ…」

ティナは、俺をかばうように立っている。

そして…

 

キンコーン

 

玄関のドアベルの音がきこえた。

「はーい」

お母さんが、何の警戒もせずに、玄関に向かう。

「あら?
はい…
まあ…」

何やらお母さんが玄関で話している。

「すみません…
すみません…」

聞こえてくる、男性の卑屈な声…

何やら一波乱あるかも…

 

 

―天使と悪魔―

 

 

で…

一体何がどこでどう間違ったのだろうか…?

静寂…

いや、無駄な時間だけが過ぎてゆく。

 

「さて。
お昼にはちょっと早いけど、チーズバーガーでも食べに行こうか?」

「やったあぁ!!」

「そうですわね」

 

「ちょっと待ってくださいよおっ!!」

 

ソファーから腰を浮かしかけた俺達を、向かいのソファーに座った男性が呼び止める。

この男性、見た目二十歳くらい、そこそこいい男ではあるのだが…

自分は悪魔だとかぬかしやがりました。

しかも玄関から普通に入ってきやがるし…

 

「わたくし共、魔界不幸者互助協会といたしましても、最近一番のお得意様のあなたが、めっきり不幸エネルギーを撒き散らしてくれなくなってしまって、とても困っているのです…」

よよよと話し始める男性。

困ってるんだ…

てか、ヤなお得意様だな、それ…

 

「業績不振で、わたくしは毎日上司に怒鳴られ…
このままでは、冬のボーナスに影響が…
家には妻と、13人の子供達が待っているのに…」

子供、多っ!?

でも…

なんだかちょっと可哀相だよなあ…

 

がしっ

 

いきなり、ティナが俺の肩を掴む。

「勇太様。
今、何をお考えになられました?
この様な輩に、同情する事なんて、まったく必要ありませんことよ」

ティナは、目の前の悪魔を睨み付け…

「あなたの都合なんて、わたくし達の知った事ではありませんことよ!!
さっさとここから出てお行きなさい!!」

「ああっ!?
ごめんなさい!!」

 

この人…

むちゃくちゃ気ぃ弱いんだなあ…
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