普通の小説ワールド

□不幸な天使はお嫌いですか?3
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大変な事になった…

 

 

 

あれからさらに二ヵ月がすぎて…

夏休み…

いや…

夏休みは嬉しい…

けど…

 

 

 

 

親父が帰ってきやがる事になりました…

 

 

―天使の笑顔―

 

 

「ああああああああああ」

「?
どうしたんですかぁ…
勇太さん?」

チャオは、いぶかしげな表情で聞いてくる。

「ああああああああああ」

チャオの問い掛けにも、俺はうろたえる事しか出来ない。

「ああああああああああ」

「勇太さん…」

「ああああああああああ」

「えいっ」

 

ずごっ

 

「ぬ"あ"あ"あ"あ"あ"」

俺はあまりの痛みにのたうちまわる。

 

「何すんだよチャオ!!」

「だってぇ…
話し掛けてるのに無視するからぁ…」

そう言って、チャオは頬を膨らます。

「バット?
それでバットなんだ?」

俺は頭を押さえ、うずくまりながら言う。

「そんな事よりぃ」

そんな事…って…

「さっきから一体どうしたんですかぁ?」

う…

 



「親父が…
帰ってくるんだよ…」

俺が言うとチャオは…

 

「なあんだぁ。
それなら挨拶くらいしておかないとぉ」

いや…

そんな簡単にいくなら悩まないって…

 

親父は、はっきり言ってとんでもない堅物だ。

俺の異性との交友にもうるさいし、今一緒に住んでるなどと言える事も出来るわけがない。

おまけにその女…

まあ、チャオの事だが…

こいつの事だから…

バカ正直に、あたしは天使だ、とか、不幸がどうだ、とかほざいた日には俺まで家を追い出されかねない…

 

さて…

普通の高校生の俺が、大学教授である親父をどうやって説得しようか…













無理だ…

 

俺は瞳をうるうるさせながら、チャオの方に振り返り…

 

 

 

「さよなら…チャオ…」

「何でですかぁっ!?」

チャオの悲鳴が部屋に響き渡った…
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